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R5年以後の住宅ローン控除手続

令和4年度の税制改正により、令和5年以後に居住する給与所得者の確定申告と年末調整における住宅ローン控除の手続きは、原則として金融機関等から年末残高証明書の交付がなくなります。税務通信3718号にこの改正についての記事がありました。

令和4年度改正により、給与所得者(令和5年以後居住)の確定申告と年末調整における住宅ローン控除の手続では、借入先の金融機関等が経過措置を適用していなければ、年末残高証明書の添付が不要になる( №3713 ・8頁)。

さらに、控除を受ける2年目以降の年末調整の手続では、金融機関等の経過措置適用がないことで、適用申請者による住宅ローン控除申告書への年末残高等の情報の転記が不要になる。

銀行の経過措置により異なる年末残高証明書の添付
ここでの“経過措置”とは、金融機関等が、住宅ローン控除適用申請者に関する年末残高などの情報が記載された調書を一定の期日までに所轄税務署へ提出することが困難な場合に、経過措置適用の届出をすることで、現行と同様に適用申請者へ年末残高証明書の交付ができるもの(改正法附則34③)。その後、金融機関等は、経過措置適用解除の届出をするまでは、控除2年目以降でも年末残高証明書を交付する対応ができる(控除2年目以降で経過措置を解除した場合の取扱いは未定)。

令和5年以後に居住する適用申請者については、借入先の金融機関等が“経過措置”を適用しているか否かで、【参考1】のとおり、年末残高証明書の交付及び添付の必要性の有無が異なる。

【参考1】経過措置と年末残高証明書の交付等の有無
金融機関等 年末残高証明書
経過措置を適用する 交付あり。手続で添付が必要
経過措置を適用しない 交付なし。手続で添付が不要

現行では自身で申告書への転記が必要
現行では、2年目以降の年末調整で控除を受ける場合、適用申請者自身で控除額を示さなければならない。

具体的には、所轄税務署からの「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書(以下、住宅ローン控除証明書)」と、金融機関等からの「年末残高証明書」の記載事項を、住宅ローン控除証明書と一体の様式である「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書兼(特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書(以下、住宅ローン控除申告書)」に転記して控除額を示すことになっている。

改正後はe-Taxを通じたデータ提供が原則だが……
改正後の年末調整の手続は、金融機関等における経過措置の適用の有無によって異なるという。

●経過措置を適用しない場合

まず、金融機関等が経過措置を適用しない場合における年末調整の手続イメージは【参考2】のとおり。

所轄税務署は、金融機関等から提出を受けた調書の情報をもとに、控除額が明記された状態で適用申請者に住宅ローン控除証明書を交付するため、適用申請者による住宅ローン控除申告書へ転記して控除額を示す作業が不要になるという。

住宅ローン控除証明書は、電子申告推進の観点から、原則、e-Taxのメッセージボックスを通じてデータ(XML形式)で毎年提供される。適用申請者は、XML形式データを年末調整ソフトにインポート(年調ソフト利用不可の場合は、QRコード付き控除証明書等を作成)して勤務先に提出するだけでよい。

ただ、e-Tax等の利用が難しい場合などは、紙の住宅ローン控除証明書を毎年受け取ることも可能になるという(紙提供を希望する場合の申請方法等は未定)。紙であっても、データと同様、適用申請者による住宅ローン控除申告書への転記は不要になるとのことだ。

●経過措置を適用する場合

一方、金融機関等が経過措置を適用している場合における年末調整の手続イメージは【参考3】のとおり。

適用申請者は、現行と同様、金融機関等から年末残高証明書、所轄税務署から住宅ローン控除証明書(住宅ローン控除申告書と一体の様式)を受け取ることになる。

住宅ローン控除証明書の提供方法は、現行と同様、紙で2年目に一括して郵送、又は、データ(XML形式)で毎年提供のどちらかを選択できるとのことだ。

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