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電子帳簿保存制度

新年あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

 

さて、話題の電子帳簿保存制度について、税務通信No.3684号を抜粋

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改正電子取引 令和5年末まで書面保存を認容

令和4年度税制改正大綱で宥恕措置を明記宥恕措置の関係など今後の電子保存対応を詳報

( 02頁)

12月10日,令和4年度与党税制改正大綱が決定した(大綱は分冊73頁に掲載)。令和4年1月1日以後,検索要件等の保存要件を満たす形で電子取引の取引情報に係る電子データの保存が義務化されるが,既報のとおり,所轄税務署長への事前申請が不要な宥恕措置の整備が同大綱に盛り込まれている( №3683 等)。

同措置の適用により,令和5年12月31日までは出力書面での保存も認められ,実質的に,これまでの出力書面又は電子データのいずれかを保存する方法が2年間継続する格好となる。同措置の適用要件となる“やむを得ない事情”の考え方を含め,現時点の同措置の詳細を取り上げる。

同措置は今月下旬に公表される省令等改正で手当てされる見通しだ。

手続不要で書面保存可,R6年以降は電子保存必須

令和4年度与党税制改正大綱で,電子取引について宥恕措置が示された(【参考1】)。令和5年12月31日までの電子取引の取引情報に係る電子データについて,保存要件に従い保存ができなかったやむを得ない事情があり,かつ,税務調査で出力書面の提出等に応じる場合には(【参考1】要件①,要件②),その出力書面での保存を認めるもの。出力書面の保存に当たり,「引き続き所轄税務署長への手続を要せず」とあるとおり(【参考1】(注2)),これまでの出力書面の保存をする場合と同様に,手続不要で書面での保存が認められるという。

ただし,令和6年以降の電子取引においては,同措置の適用はなく,保存要件を満たす形で電子データ保存が必要となる。

個社状況に応じて宥恕措置を適用

宥恕措置の適用に当たり,「所轄税務署長が電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存要件に従って保存ができなかったことについてやむを得ない事情があると認める」といった要件がある(【参考1】要件①)。この“やむを得ない事情”の内容を気にする向きもあるが,現時点で例えば,『システム整備の予算が確保できなかった』,『他業務との兼ね合いでシステム整備に時間がかかり間に合わなかった』,『社内ワークフローの整備が追いつかなかった』など,その企業の状況において対応が困難であったというのであれば,基本的にはやむを得ない事情があるとして同措置の適用対象になるという考え方のようだ。

今回,「事業者の実情に配意し」引き続き手続不要で書面保存を認めるものとなっており,税務調査の際に,調査官に問われれば企業がその事情を回答するといった,事務負担なく簡易に適用できるものといえる。また,納税者に義務を課す改正,例えば,大法人に対する法人税等の電子申告の義務化では改正から2年後を適用時期としており,今回の同措置によって,電子データ保存の義務を完全に課すまで1年ではなく数年の準備期間を持たせたと考えられる。そもそも,同措置がなかったとしても,電子データ保存に対応できず書面保存をしていたことのみをもって,青色申告の承認取消しや経費の損金算入が不可とはならないことを国税庁が明確にしている( №3680 等)。こうした点や,事業者の現状に配慮して設けられた背景から,災害等による一般的な宥恕措置としてイメージする限定的な措置ではなく,相応に間口が広い措置になるとみられる。

書面と電子データの混在ケースも想定

例えば,『請求書等は電子データ保存のシステム対応が完了したが,契約書など他の書類への対応が済んでいない』,『部門によってシステム対応ができていない部門もある』,『事業所によってシステム対応ができていない事業所もある』といったように,企業が電子データ保存に一部対応・未対応という状況もあろう。この場合,電子データと書面の保存が混在することもあろうが,こうしたケースも宥恕措置により認容される模様だ。

【参考1】 「電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存への円滑な移行のための宥恕措置の整備」の概要(令和4年度与党税制改正大綱より,一部編集)

令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間の電子取引につき,「要件①:所轄税務署長が当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存要件に従って保存をすることができなかったことについてやむを得ない事情があると認め」,かつ,「要件②:当該電磁的記録の出力書面の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている場合」には,その保存要件にかかわらず,その電磁的記録の保存をすることができることとする経過措置を講ずる。

(注1)  令和4年1月1日以後に行う電子取引の取引情報について適用する。
(注2)  上記の電子取引の取引情報に係る電磁的記録の出力書面等を保存している場合における当該電磁的記録の保存に関する上記の措置の適用については,保存要件への対応が困難な事業者の実情に配意し,引き続き納税地等の所轄税務署長への手続を要せずその出力書面等による保存を可能とするよう,運用上,適切に配慮することとする。
【参考2】 電子取引の時期と保存方法のイメージ
令和4年1月1日~5年12月31日 令和6年1月1日~
 電子データによる保存
出力書面による保存*  

「保存要件に従い電子データ保存ができなかったやむを得ない事情がある」,及び「税務調査で書面提出等が可能」である場合。税務署長への手続不要。

 

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高澤

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