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改正電子帳簿保存法

こんにちは

税務通信3672号により、スキャナ保存会社が電子取引を行う場合の留意点について記事がありましたので、紹介いたします。以下税務通信の内容です。

令和3年度改正によりスキャナ保存制度の要件が抜本的に緩和されるため,来年1月からの制度改正に合わせ,適用を検討している企業も多いだろう。他方,同月からは改正電子取引制度への対応も求められるが,電子取引で受領した電子データを書面出力してスキャナ保存しても電子帳簿保存法の要件を満たすことはできないため留意したい。

R3改正でスキャナ保存制度が抜本緩和

スキャナ保存制度は,取引の相手先から受け取った請求書等及び自己が作成したこれらの写し等の「国税関係書類」(決算関係書類を除く)について,書面による保存に代えて,一定の要件の下でスキャン文書による保存を認めたもの。

令和3年度改正では,承認制度や受領者が入力する場合の自署が廃止された他,タイムスタンプの付与期間が,記録事項の入力期間と同様,最長約2か月と概ね7営業日以内とされ,訂正・削除履歴の残るクラウド等で保存する場合はタイムスタンプが不要となった。また,ネックとなっていた適正事務処理要件も廃止されたため,導入のハードルはかなり下がったといえよう(電帳法4③,電帳規2⑥)。

社内の業務フローを区別する必要あり

スキャナ保存制度について,実務家から疑問の声があがっているのが,改正電子取引制度(電帳法7)も睨んだ実務対応についてだ。

来年1月から適用される改正電子取引制度では,これまで認められていた書面出力保存が廃止される。このため,電子取引の取引情報は電子データで保存することが必要となるが,従来からスキャナ保存制度を利用してきた企業の中には,電子取引で受領した電子データを一度書面に出力し,この書面をスキャナ保存できないかと考える企業もあるという。請求書等について,電子データ,書面のいずれで受領したかにかかわらずスキャナ保存ができるのであれば,単一のフローで業務を回すことができシステム改修も不要となるからだ。

しかし,結論から言うと,電子取引で受領した電子データを一度書面に出力し,これをスキャナ保存しても電子帳簿保存法の要件を満たすことはできない。

というのも,まず,電子取引制度においては,今回,他者から受領した電子データとの同一性が十分に確保されないことを理由に書面出力保存が廃止されており,書面に出力してスキャナ保存しても同制度の要件を満たすことができない。また,スキャナ保存制度においても,受領した電子データを出力した書面は「国税関係書類」に該当しないため同制度の要件を満たすことができないからだ。

このため,来年1月からは,電子取引で受領した電子データは電子保存,書面で受領したものはスキャナ保存というように社内の業務フローを別個に設定することが必要となる。当然ながら,これは新たにスキャナ保存制度の適用を開始する場合でも同様となるため留意したい。

同じ文書管理システムの利用はOK

他方,スキャナ保存制度におけるスキャン文書と電子取引で受領した電子データの保存については,同一の文書管理システムを利用することが可能だ(電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問28)。

ただし,スキャナ保存制度と電子取引制度の両方の保存要件を満たすことができる文書管理システムであることが必要となる点に留意したい。

なお,同一の文書管理システムを利用する場合において,スキャナ保存制度におけるスキャン文書と電子取引制度における電子データは区分して検索できる必要はないということだ。

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